財務指標の計算方法
財務モデルで表示される各指標の定義・計算式・判定基準について説明します。
財務モデルでは、金融庁に提出された構造化財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)のデータをもとに各種財務指標を自動計算しています。以下に各指標の計算式と意味をまとめます。
目次
初心者ガイド:3 つの財務諸表
すべての財務指標は、企業が定期的に公開する3つの中核報告書から算出されます。指標を理解する第一歩は、この 3 表を知ることです。
損益計算書
この企業はいくら稼いだか?
一定期間(通常1年間)の収益と費用を記録。売上高 → 各種費用 → 最終的な純利益。収益性指標のデータソースです。
貸借対照表
この企業は何を持ち、何を借りているか?
ある時点の資産・負債・純資産を記録。左側=資産(お金の使い道)、右側=負債+株主資本(お金の出どころ)。安全性・レバレッジ指標のデータソースです。
キャッシュフロー計算書
お金は実際にどう動いたか?
実際の現金収支を、営業活動・投資活動・財務活動の3区分で記録。利益があっても現金がないケース(売掛金未回収、在庫積み上がり等)を見破る重要な報告書です。
おすすめの読み順
まず収益性 → 企業が稼いでいるか確認(売上総利益率・営業利益率・純利益率)
次にキャッシュフロー → 利益に実際の現金が伴っているか確認(営業CF・FCF)
そして安全性 → 企業が持続可能か確認(自己資本比率・流動比率)
最後に効率とレバレッジ → 成長の質とリスクを理解(ROE・総資産回転率・D/E)
収益性 (Profitability)
企業がどれだけ効率的に収益を生み出しているかを測定する指標です。利益率分析(売上総利益率・営業利益率・当期純利益率)と資本リターン(ROE・ROA)を含みます。
実践Tips:売上総利益率→営業利益率→純利益率の順に比較すると、利益がどの段階で「漏れて」いるかが分かります。粗利は高いのに営業利益率が低い=販管費が重い、営業利益率は高いのに純利益率が低い=特別損失が大きい。
売上総利益率
売上総利益 ÷ 売上高 × 100単位: %売上高に対する粗利の割合。製品やサービスの基本的な収益力を示します。業種差が大きく、ソフトウェア業は60%以上、小売業は20〜30%程度が一般的です。
粗利率30% = 売上100円のうち30円が粗利。同業平均40%なら、この企業は価格設定またはコスト管理が弱い可能性。
営業利益率
営業利益 ÷ 売上高 × 100単位: %本業の収益力を示します。販管費を含めた事業全体の効率性がわかります。売上総利益率との差が販管費の圧迫度を示します。
営業利益率8% = 売上100円から全ての営業費用を差し引いて8円が残る。
当期純利益率
当期純利益 ÷ 売上高 × 100単位: %最終的な利益率。税金・特別損益を含む全体の利益効率を示します。一時的な損益の影響を受けやすいため、営業利益率と併せて判断するのが有効です。
純利益率5% = 売上100円から最終的に5円の純利益。営業利益率が10%近いのに純利益率が3%なら、特別損失か税負担が重い。
ROE(自己資本利益率)
当期純利益 ÷ 純資産(自己資本) × 100単位: %株主の投資に対するリターン。デュポン分解で「利益率 × 回転率 × レバレッジ」の3軸で分析可能。伊藤レポート基準では8%が目安とされます。
ROE 12% = 株主が100円投資すると年間12円の利益。ただし借入で引き上げている場合はリスクも高い——自己資本比率とD/Eも確認を。
ROA(総資産利益率)
当期純利益 ÷ 総資産 × 100単位: %総資産を使ってどれだけの利益を生み出しているかを示す効率指標です。ROEと異なりレバレッジの影響を受けないため、企業間比較に適しています。
ROA 6% = 総資産100円あたり6円の利益。A社ROE 15%でROA 3%なら、高リターンはレバレッジ(借入)依存。
ROIC(投下資本利益率)
営業利益 × (1 − 実効税率) ÷ (自己資本 + 有利子負債) × 100単位: %株主資本と有利子負債を合わせた「投下資本」が生み出すリターン。ROEと違いレバレッジの影響を受けにくく、本業の資本効率を純粋に示します。WACC(資本コスト)を上回るROICが価値創造の条件。
ROIC 10% かつ WACC 5% なら、投下資本100円あたり5円の付加価値を創出。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益率 | 売上総利益 ÷ 売上高 × 100 | % | 売上高に対する粗利の割合。製品やサービスの基本的な収益力を示します。業種差が大きく、ソフトウェア業は60%以上、小売業は20〜30%程度が一般的です。 粗利率30% = 売上100円のうち30円が粗利。同業平均40%なら、この企業は価格設定またはコスト管理が弱い可能性。 |
| 営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | % | 本業の収益力を示します。販管費を含めた事業全体の効率性がわかります。売上総利益率との差が販管費の圧迫度を示します。 営業利益率8% = 売上100円から全ての営業費用を差し引いて8円が残る。 |
| 当期純利益率 | 当期純利益 ÷ 売上高 × 100 | % | 最終的な利益率。税金・特別損益を含む全体の利益効率を示します。一時的な損益の影響を受けやすいため、営業利益率と併せて判断するのが有効です。 純利益率5% = 売上100円から最終的に5円の純利益。営業利益率が10%近いのに純利益率が3%なら、特別損失か税負担が重い。 |
| ROE(自己資本利益率) | 当期純利益 ÷ 純資産(自己資本) × 100 | % | 株主の投資に対するリターン。デュポン分解で「利益率 × 回転率 × レバレッジ」の3軸で分析可能。伊藤レポート基準では8%が目安とされます。 ROE 12% = 株主が100円投資すると年間12円の利益。ただし借入で引き上げている場合はリスクも高い——自己資本比率とD/Eも確認を。 |
| ROA(総資産利益率) | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 | % | 総資産を使ってどれだけの利益を生み出しているかを示す効率指標です。ROEと異なりレバレッジの影響を受けないため、企業間比較に適しています。 ROA 6% = 総資産100円あたり6円の利益。A社ROE 15%でROA 3%なら、高リターンはレバレッジ(借入)依存。 |
| ROIC(投下資本利益率) | 営業利益 × (1 − 実効税率) ÷ (自己資本 + 有利子負債) × 100 | % | 株主資本と有利子負債を合わせた「投下資本」が生み出すリターン。ROEと違いレバレッジの影響を受けにくく、本業の資本効率を純粋に示します。WACC(資本コスト)を上回るROICが価値創造の条件。 ROIC 10% かつ WACC 5% なら、投下資本100円あたり5円の付加価値を創出。 |
流動性 (Liquidity)
企業の短期的な支払い能力と財務の安全性を測定する指標です。
この指標群の核心は「この企業は突然倒産しないか」です。たとえ利益が潤沢でも、短期の借入を返せる現金がなければ企業は倒産し得ます。
流動比率
流動資産 ÷ 流動負債 × 100単位: %短期債務に対する支払能力。200%以上が理想的とされますが、製造業は高め、小売業は低めが一般的で、業種特性を踏まえた判断が必要です。
流動比率150% = 短期負債100円に対し流動資産150円。100%未満は短期資産で負債をカバーできない状態。
自己資本比率
純資産(自己資本) ÷ 総資産 × 100単位: %総資産のうち自己資本が占める割合。財務の安定性を示します。
自己資本比率60% = 総資産のうち60%が自己資金、40%が借入。一般に40%以上あれば安全。
手元流動性比率
現金及び預金 ÷ 流動負債 × 100単位: %すぐに支払える現金で短期債務をどれだけカバーできるか。流動比率より厳格な即時支払能力を示します。
手元流動性比率50% = 現金だけで短期負債の半分をカバーできる。キャッシュフローが不安定な企業では特に重要。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 | % | 短期債務に対する支払能力。200%以上が理想的とされますが、製造業は高め、小売業は低めが一般的で、業種特性を踏まえた判断が必要です。 流動比率150% = 短期負債100円に対し流動資産150円。100%未満は短期資産で負債をカバーできない状態。 |
| 自己資本比率 | 純資産(自己資本) ÷ 総資産 × 100 | % | 総資産のうち自己資本が占める割合。財務の安定性を示します。 自己資本比率60% = 総資産のうち60%が自己資金、40%が借入。一般に40%以上あれば安全。 |
| 手元流動性比率 | 現金及び預金 ÷ 流動負債 × 100 | % | すぐに支払える現金で短期債務をどれだけカバーできるか。流動比率より厳格な即時支払能力を示します。 手元流動性比率50% = 現金だけで短期負債の半分をカバーできる。キャッシュフローが不安定な企業では特に重要。 |
レバレッジ (Leverage)
企業の負債利用度と財務リスクを測定する指標です。
レバレッジ自体は悪ではありません。適度な借入はROEを高めます。ただし過度なレバレッジは下振れリスクを増幅します。鍵は、安定的に十分なキャッシュフローで返済できるかどうかです。
負債資本倍率(D/E)
負債合計 ÷ 純資産(自己資本)単位: 倍自己資本に対する負債の比率。1倍未満が一般的に健全とされます。
D/E 0.8倍 = 自己資本100円に対し負債80円。2倍超えは借入が自己資本の2倍以上——要注意。
負債比率
負債合計 ÷ 総資産 × 100単位: %総資産のうち他人資本(負債)が占める割合。自己資本比率の補完指標です。50%以下が健全とされますが、不動産・電力など資本集約型業種では高めが一般的です。
負債比率45% = 総資産のうち45%が借入。自己資本比率 + 負債比率 ≈ 100%の補完関係。
インタレスト・カバレッジ
営業利益 ÷ |支払利息|単位: 倍営業利益で利息を何倍カバーできるか。数値が高いほど利息負担の余裕があり、1倍未満は営業利益だけでは利息を賄えず、デフォルトリスクがあります。
ICR 8倍 = 営業利益が利息の8倍。1.5倍程度だと業績悪化時に利息を支払えなくなるリスクあり。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 負債資本倍率(D/E) | 負債合計 ÷ 純資産(自己資本) | 倍 | 自己資本に対する負債の比率。1倍未満が一般的に健全とされます。 D/E 0.8倍 = 自己資本100円に対し負債80円。2倍超えは借入が自己資本の2倍以上——要注意。 |
| 負債比率 | 負債合計 ÷ 総資産 × 100 | % | 総資産のうち他人資本(負債)が占める割合。自己資本比率の補完指標です。50%以下が健全とされますが、不動産・電力など資本集約型業種では高めが一般的です。 負債比率45% = 総資産のうち45%が借入。自己資本比率 + 負債比率 ≈ 100%の補完関係。 |
| 有利子負債 / 自己資本 | 有利子負債 ÷ 自己資本 | 倍 | 営業債務を除いた金融負債ベースのレバレッジ指標。借入・社債・リース債務の資本構成圧力を確認する際に有効です。 |
| インタレスト・カバレッジ | 営業利益 ÷ |支払利息| | 倍 | 営業利益で利息を何倍カバーできるか。数値が高いほど利息負担の余裕があり、1倍未満は営業利益だけでは利息を賄えず、デフォルトリスクがあります。 ICR 8倍 = 営業利益が利息の8倍。1.5倍程度だと業績悪化時に利息を支払えなくなるリスクあり。 |
効率性 (Efficiency)
企業が資産をどれだけ効率的に活用して売上を生み出しているかを測定する指標です。
効率性はデュポン分析の第2の軸です。高ROEは高利益率・高回転率・高レバレッジのいずれかから生まれます。効率指標はどちらかを見分けるツールです。
キャッシュフロー (Cash Flow)
企業の現金収支を示す指標です。利益とは異なり、実際の資金の流れを表します。
初心者の必須知識:損益計算書の利益 ≠ 実際の現金。帳簿上は黒字でも、売掛金未回収や在庫積み上がりで現金が減少しているケースがあります。CF計算書は「本物のお金」の動きを示します。
営業CF
営業活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得)単位: 金額本業から生み出される現金。プラスが基本です。
営業CF > 0 = 本業で現金を生み出している。純利益10億円で営業CF 2億円なら利益の質を疑うべき。
投資CF
投資活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得)単位: 金額設備投資等に使用した現金。通常マイナス(=投資を行っている)が健全です。
投資CF < 0 = 正常(投資を実施中)。急にプラスになったら資産売却の可能性——要警戒。
財務CF
財務活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得)単位: 金額借入・返済・配当等の財務活動による現金の増減です。
財務CFが継続的にマイナス = 安定して返済・配当中(成熟企業の典型)。継続的にプラス = 借入増加中、レバレッジ指標と併せて確認を。
フリーキャッシュフロー(FCF)
営業CF + 投資CF単位: 金額企業が自由に使える現金の総額。プラスであれば、配当・返済・新規投資に充てる余裕があることを示し、企業価値評価の核心指標です。
FCFが継続的にプラス = 企業の「造血力」が強い。純利益が潤沢でもFCFが継続マイナスなら、在庫圧迫や売掛金回収に問題がある可能性。
営業CFマージン
営業CF ÷ 売上高 × 100単位: %売上高に対する営業キャッシュフローの比率。利益の現金化効率を示し、粉飾耐性が高い指標です。
OCFマージン15% = 売上100円から実際の現金15円を生み出す。純利益率10%でOCFマージン15%なら現金収入の質が高い。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 営業CF | 営業活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得) | 金額 | 本業から生み出される現金。プラスが基本です。 営業CF > 0 = 本業で現金を生み出している。純利益10億円で営業CF 2億円なら利益の質を疑うべき。 |
| 投資CF | 投資活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得) | 金額 | 設備投資等に使用した現金。通常マイナス(=投資を行っている)が健全です。 投資CF < 0 = 正常(投資を実施中)。急にプラスになったら資産売却の可能性——要警戒。 |
| 財務CF | 財務活動によるキャッシュフロー(CF計算書より直接取得) | 金額 | 借入・返済・配当等の財務活動による現金の増減です。 財務CFが継続的にマイナス = 安定して返済・配当中(成熟企業の典型)。継続的にプラス = 借入増加中、レバレッジ指標と併せて確認を。 |
| フリーキャッシュフロー(FCF) | 営業CF + 投資CF | 金額 | 企業が自由に使える現金の総額。プラスであれば、配当・返済・新規投資に充てる余裕があることを示し、企業価値評価の核心指標です。 FCFが継続的にプラス = 企業の「造血力」が強い。純利益が潤沢でもFCFが継続マイナスなら、在庫圧迫や売掛金回収に問題がある可能性。 |
| 営業CFマージン | 営業CF ÷ 売上高 × 100 | % | 売上高に対する営業キャッシュフローの比率。利益の現金化効率を示し、粉飾耐性が高い指標です。 OCFマージン15% = 売上100円から実際の現金15円を生み出す。純利益率10%でOCFマージン15%なら現金収入の質が高い。 |
DD指標 (Due Diligence Metrics)
デューデリジェンスやM&A分析で重視される合成指標です。PL/BS/CFの項目を組み合わせて算出します。
投資銀行やPEファンドのアナリストが必ず見る指標群です。企業の「値段」を評価するならEBITDAとネットデット/EBITDAが中心になります。
EBITDA
営業利益 + |減価償却費|単位: 金額利払い・税引き・償却前利益。資本構成・税制・償却政策の差異を排除し、国際・業種横断的な収益力比較に最適です。M&A では企業価値評価の基礎として多用されます。
EBITDA 50億円は「企業という機械の生産能力」。EV/EBITDA(企業価値倍率)で異なる企業の「価格」を比較するのが一般的。
EBITDAマージン
EBITDA ÷ 売上高 × 100単位: %売上高に対するEBITDAの比率。事業収益力の国際比較に使用されます。
EBITDAマージン20% = 売上100円あたりEBITDA 20円。営業利益率より高いのは減価償却を加算するため。
EBITDA成長率(YoY)
(EBITDA_t − EBITDA_{t-1}) ÷ |EBITDA_{t-1}| × 100単位: %本業の稼ぐ力が前年からどれだけ伸びたか(または縮んだか)を示します。
運転資本
流動資産 − 流動負債単位: 金額日常業務に必要な短期の手元資金。プラスなら支払い余力があることを示します。
運転資本20億円 = 短期負債を差し引いても20億円が日々の運営に使える。マイナスは短期資金の逼迫を示す。
ネットデット(純有利子負債)
有利子負債 − 現金及び預金単位: 金額実質的な借入残高。マイナスなら手元現金が借入を上回る実質無借金状態です。
ネットデット -30億円 = 現金が借入を30億円上回る実質無借金。こうした企業は景気後退時の耐性が高い。
ネットデット/EBITDA
ネットデット ÷ EBITDA単位: 倍有利子負債の返済能力。2倍未満が理想的で、事業利益で何年で借入を返せるかを示します。
ネットデット/EBITDA 1.5倍 = 1.5年分のEBITDAで純有利子負債を完済可能。4倍超は一般にハイリスク。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| EBITDA | 営業利益 + |減価償却費| | 金額 | 利払い・税引き・償却前利益。資本構成・税制・償却政策の差異を排除し、国際・業種横断的な収益力比較に最適です。M&A では企業価値評価の基礎として多用されます。 EBITDA 50億円は「企業という機械の生産能力」。EV/EBITDA(企業価値倍率)で異なる企業の「価格」を比較するのが一般的。 |
| EBITDAマージン | EBITDA ÷ 売上高 × 100 | % | 売上高に対するEBITDAの比率。事業収益力の国際比較に使用されます。 EBITDAマージン20% = 売上100円あたりEBITDA 20円。営業利益率より高いのは減価償却を加算するため。 |
| 調整後EBITDA | EBITDA − 特別利益 + |特別損失| | 金額 | 一時要因を除いて、継続事業の収益力に近いEBITDAを把握するための指標です。 |
| 調整後EBITDAマージン | 調整後EBITDA ÷ 売上高 × 100 | % | 非経常項目を除いた継続的なキャッシュ収益性を示します。 |
| EBITDA成長率(YoY) | (EBITDA_t − EBITDA_{t-1}) ÷ |EBITDA_{t-1}| × 100 | % | 本業の稼ぐ力が前年からどれだけ伸びたか(または縮んだか)を示します。 |
| 運転資本 | 流動資産 − 流動負債 | 金額 | 日常業務に必要な短期の手元資金。プラスなら支払い余力があることを示します。 運転資本20億円 = 短期負債を差し引いても20億円が日々の運営に使える。マイナスは短期資金の逼迫を示す。 |
| 運転資本 / 売上高 | 運転資本 ÷ 売上高 × 100 | % | 売上に対してどれだけ運転資金を要するかを示す、資金効率の指標です。 |
| ネットデット(純有利子負債) | 有利子負債 − 現金及び預金 | 金額 | 実質的な借入残高。マイナスなら手元現金が借入を上回る実質無借金状態です。 ネットデット -30億円 = 現金が借入を30億円上回る実質無借金。こうした企業は景気後退時の耐性が高い。 |
| ネットデット/EBITDA | ネットデット ÷ EBITDA | 倍 | 有利子負債の返済能力。2倍未満が理想的で、事業利益で何年で借入を返せるかを示します。 ネットデット/EBITDA 1.5倍 = 1.5年分のEBITDAで純有利子負債を完済可能。4倍超は一般にハイリスク。 |
| FCFマージン | FCF ÷ 売上高 × 100 | % | 売上がどの程度フリーキャッシュフローへ転換されているかを示します。 |
| Capex / 売上高 | |Capex| ÷ 売上高 × 100 | % | 売上に対する設備投資負担の大きさ(投資強度)を示します。 |
| Capex / D&A | |Capex| ÷ |減価償却費| | 倍 | 1倍超は成長投資寄り、1倍未満は更新投資不足の可能性を示唆します。 |
| 実効税率 | 法人税等 ÷ 税引前利益 × 100 | % | 税前利益に対する実際の税負担率。大きな振れは一時要因や税務要因の可能性があります。 |
| 特別損益 / 経常利益 | (特別利益 − |特別損失|) ÷ |経常利益| × 100 | % | 経常利益に対して一時項目がどの程度影響しているかを示します。 |
| 当座比率 | (流動資産 − 棚卸資産) ÷ 流動負債 | 倍 | 在庫を除いた即時流動資産で短期債務をどれだけ賄えるかを示します。 |
| 営業利益成長率(YoY/DD) | (営業利益_t − 営業利益_{t-1}) ÷ |営業利益_{t-1}| × 100 | % | 売上成長に対して本業利益が追随しているかを確認します。 |
| 当期純利益成長率(YoY/DD) | (当期純利益_t − 当期純利益_{t-1}) ÷ |当期純利益_{t-1}| × 100 | % | 最終利益の伸びを確認する成長指標です。 |
| 売上高CAGR(DD) | (売上高_latest ÷ 売上高_earliest)^(1/n) − 1 | % | 複数年の年平均成長率で、単年ブレを平準化して把握します。 |
| 営業利益CAGR(DD) | (営業利益_latest ÷ 営業利益_earliest)^(1/n) − 1 | % | 営業利益の複数年平均成長率です。 |
| のれん / 総資産 | のれん ÷ 総資産 × 100 | % | 買収プレミアムの比重。高いほど減損リスクの感応度が高くなります。 |
| 無形資産 / 自己資本 | 無形資産 ÷ 自己資本 × 100 | % | 自己資本のうち無形資産で占める割合を示すBS品質指標です。 |
| DSO(売上債権回収日数) | 売上債権 ÷ 売上高 × 365 | 日 | 売上債権の回収に要する平均日数。上昇は回収遅れの兆候になり得ます。 |
| 売上債権残高 | 貸借対照表の売上債権計上額 | 金額 | DSOや債権負担率の基礎となる絶対額です。 |
| 売上債権 / 売上高 | 売上債権 ÷ 売上高 × 100 | % | 売上に対する債権の滞留度合い。高止まりは回収条件悪化のシグナルとなる場合があります。 |
| 売上債権 / 総資産 | 売上債権 ÷ 総資産 × 100 | % | 総資産に占める債権集中度。顧客信用リスクへの感応度把握に使います。 |
| 仕入債務残高 | 貸借対照表の仕入債務計上額 | 金額 | DPOや仕入先依存度分析の基礎となる絶対額です。 |
| 仕入債務 / 売上高 | 仕入債務 ÷ 売上高 × 100 | % | 売上に対する買掛依存度。上昇は運転資金の外部依存拡大を示すことがあります。 |
| 棚卸資産残高 | 貸借対照表の棚卸資産計上額 | 金額 | DIO・在庫負担率・在庫回転率の基礎となる在庫絶対額です。 |
| 棚卸資産 / 売上高 | 棚卸資産 ÷ 売上高 × 100 | % | 売上に対する在庫負担率。上昇が続く場合は在庫滞留リスクを示唆します。 |
| 棚卸資産回転率 | 売上原価 ÷ 棚卸資産 | 倍 | 一定期間に在庫が何回転したかを示す指標。低下は在庫回転鈍化や陳腐化リスクを示すことがあります。 |
| DPO(仕入債務支払日数) | |仕入債務| ÷ |売上原価| × 365 | 日 | 仕入先への支払までの平均日数。延長は資金繰り改善と取引先負担増の両面を持ちます。 |
| DIO(棚卸資産保有日数) | 棚卸資産 ÷ |売上原価| × 365 | 日 | 在庫が現金化されるまでの平均日数。長期化は滞留在庫や需要鈍化の可能性があります。 |
成長性 (Growth)
売上やキャッシュフローが時間とともにどう変化しているかを測る指標群。事業ステージや業界平均との比較で意味を持ちます。
単年の数字ではなく 3〜5 年の推移で確認します。一時的な特需や M&A による急成長は持続性を欠くことが多く、オーガニック成長と区別する視点が重要です。
売上高成長率
(当期売上高 − 前期売上高) ÷ |前期売上高| × 100単位: %前年同期との売上比較。市場成長率や利益成長率と併せて評価することで、シェア拡大か単純な市場拡大かを区別できます。
売上高成長率 8% = 前期100億→当期108億。市場成長率 2% ならシェア拡大中。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 売上高成長率 | (当期売上高 − 前期売上高) ÷ |前期売上高| × 100 | % | 前年同期との売上比較。市場成長率や利益成長率と併せて評価することで、シェア拡大か単純な市場拡大かを区別できます。 売上高成長率 8% = 前期100億→当期108億。市場成長率 2% ならシェア拡大中。 |
利益の質 (Quality of Earnings)
報告利益が現金で裏付けられているか、一時要因に歪められていないかを多角的に検証する指標群。M&A デューデリジェンスや投資判断で重視されます。
利益は会計上の見積りを含むため操作の余地があります。QoE 指標は CF と PL を突き合わせ、会計利益が「本物の現金」になっているかを検証します。
営業CF ÷ 営業利益
営業活動によるCF ÷ 営業利益単位: 倍営業利益のうち実際に現金として入ってきた割合。0.95 倍以上が健全、0.65 倍以下は売掛金や在庫の積み増しなど利益の未現金化を示す警戒シグナル。
CFO/OI 0.5 倍 = 営業利益のうち半分しか現金化していない。長期化すれば運転資金が枯渇するリスク。
発生主義比率(Sloan Accruals)
(当期純利益 − 営業活動CF) ÷ 平均総資産単位: 比率現金を伴わない利益(発生主義部分)の総資産に対する大きさ。0.03 以下が健全、0.09 以上は警戒。Sloan (1996) の研究で、高アクルーアル企業は翌期のリターンが低いことが示されています。
特別損益の影響度
|特別利益 − 特別損失| ÷ |営業利益| × 100単位: %一時的な特別損益が本業の利益にどれだけ影響しているか。25% を超えると、実勢を見るには特別損益を控除した利益で再評価する必要があります。
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)
DSO + DIO − DPO(売掛金日数 + 在庫日数 − 買掛金日数)単位: 日仕入れから売上代金回収までに要する日数。短いほど運転資金効率が良く、長期化は売掛金回収遅延や在庫過剰のサイン。同業比較が有効です。
CCC 60 日 = 在庫を仕入れてから現金化まで 2 ヶ月。同業 30 日の競合に比べ運転資金効率が劣る。
実効税率の安定性
直近 3 期の (法人税等 ÷ 税引前利益) の標準偏差単位: pp異常な変動は税制適用の見直し、繰延税金資産の取崩し、または地域別利益配分の変更を示唆。継続的なタックス・プランニングの兆候となることがあります。
運転資本成長率 vs 売上高成長率
運転資本成長率 ÷ 売上高成長率単位: 倍売上以上のペースで運転資本(売掛金+在庫)が増えていないかを確認。1.5 倍を超えると、無理な売上計上(チャネル・スタッフィング)や在庫滞留が疑われます。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 営業CF ÷ 営業利益 | 営業活動によるCF ÷ 営業利益 | 倍 | 営業利益のうち実際に現金として入ってきた割合。0.95 倍以上が健全、0.65 倍以下は売掛金や在庫の積み増しなど利益の未現金化を示す警戒シグナル。 CFO/OI 0.5 倍 = 営業利益のうち半分しか現金化していない。長期化すれば運転資金が枯渇するリスク。 |
| 営業CF ÷ 純利益 | 営業活動によるCF ÷ 当期純利益 | 倍 | 最終利益が現金で裏付けられているか。1.0 倍以上が継続的に出るのが理想。大きく下回る期が続く場合は利益操作の可能性を疑います。 |
| 発生主義比率(Sloan Accruals) | (当期純利益 − 営業活動CF) ÷ 平均総資産 | 比率 | 現金を伴わない利益(発生主義部分)の総資産に対する大きさ。0.03 以下が健全、0.09 以上は警戒。Sloan (1996) の研究で、高アクルーアル企業は翌期のリターンが低いことが示されています。 |
| 特別損益の影響度 | |特別利益 − 特別損失| ÷ |営業利益| × 100 | % | 一時的な特別損益が本業の利益にどれだけ影響しているか。25% を超えると、実勢を見るには特別損益を控除した利益で再評価する必要があります。 |
| キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC) | DSO + DIO − DPO(売掛金日数 + 在庫日数 − 買掛金日数) | 日 | 仕入れから売上代金回収までに要する日数。短いほど運転資金効率が良く、長期化は売掛金回収遅延や在庫過剰のサイン。同業比較が有効です。 CCC 60 日 = 在庫を仕入れてから現金化まで 2 ヶ月。同業 30 日の競合に比べ運転資金効率が劣る。 |
| 利益率の安定性 | 直近 3 期の売上総利益率(または営業利益率)の標準偏差 | pp | 値が小さいほど利益率が安定。大きい場合は原価変動、価格圧力、または会計方針の変更を示唆します。 |
| 実効税率の安定性 | 直近 3 期の (法人税等 ÷ 税引前利益) の標準偏差 | pp | 異常な変動は税制適用の見直し、繰延税金資産の取崩し、または地域別利益配分の変更を示唆。継続的なタックス・プランニングの兆候となることがあります。 |
| 運転資本成長率 vs 売上高成長率 | 運転資本成長率 ÷ 売上高成長率 | 倍 | 売上以上のペースで運転資本(売掛金+在庫)が増えていないかを確認。1.5 倍を超えると、無理な売上計上(チャネル・スタッフィング)や在庫滞留が疑われます。 |
フォレンジック分析 (Forensic Scores)
統計研究に基づき、倒産リスクや利益操作の可能性を単一スコアにまとめる手法。複数指標を合成するため、個別指標では見落としがちな兆候を捉えられます。
スコアは「警戒シグナル」であり最終判定ではありません。閾値超えは追加デューデリジェンスの対象として、原因を個別に確認すべきです。
Altman Z'-Score(倒産予測)
Z' = 0.717·X1 + 0.847·X2 + 3.107·X3 + 0.42·X4 + 0.998·X5単位: スコア製造業向けの倒産予測スコア。判定:> 2.90 = 安全圏、1.23〜2.90 = グレーゾーン、< 1.23 = 倒産リスク。非製造業は X5 を除いた Z'' を使用します。 X1 = 運転資本 ÷ 総資産(短期流動性) X2 = 利益剰余金 ÷ 総資産(長期収益性) X3 = EBIT ÷ 総資産(資産収益力) X4 = 自己資本 ÷ 負債合計(財務安全性) X5 = 売上高 ÷ 総資産(資産回転率、製造業のみ)
Beneish M-Score(利益操作の検出)
M = −4.84 + 0.92·DSRI + 0.528·GMI + 0.404·AQI + 0.892·SGI + 0.115·DEPI − 0.172·SGAI + 4.679·TATA − 0.327·LVGI単位: スコアM > −1.78 で「利益操作の可能性あり」と判定(Beneish 1999)。8 つのサブ指標は前期との比率で構成されます。 DSRI(売掛金回転)= 当期(売掛金/売上) ÷ 前期(売掛金/売上) GMI(粗利率劣化)= 前期粗利率 ÷ 当期粗利率 AQI(資産品質)= 無形・その他資産比率の前期比 SGI(売上成長)= 当期売上 ÷ 前期売上 DEPI(減価償却)= 前期償却率 ÷ 当期償却率 SGAI(販管費率)= 当期(販管費/売上) ÷ 前期(販管費/売上) LVGI(レバレッジ)= 当期負債比率 ÷ 前期負債比率 TATA(総アクルーアル)= 非現金運転資本変動 ÷ 総資産
Dechow Fスコア(不正会計確率)
F = −7.893 + 0.79·RSST_ACC + 2.518·CH_REC + 1.191·CH_INV + 1.979·SOFT_ASSETS + 0.171·CH_CS − 0.932·CH_ROA + 1.029·ISSUE単位: スコアDechow et al. (2011) のロジット・モデルで、倒産ではなく重要な会計不正の発生確率を推定します。実務上の目安は F < 0.85 通常、0.85〜1.85 警戒、> 1.85 高リスク。発生主義利益の厚み、売掛金・在庫の伸び、ソフト資産比率、資金調達圧力が主な寄与要因です。
Springate Sスコア(財務危機スクリーニング)
S = 1.03·(運転資本/総資産) + 3.07·(EBIT/総資産) + 0.66·(EBIT/流動負債) + 0.40·(売上/総資産)単位: スコアSpringate (1978) の4変数判別モデル。一般的な読み方は S ≥ 0.862 安全、0〜0.862 グレー、< 0 危険域です。係数は開発サンプル依存のため、単独判定ではなく業種比較と併用して早期警戒シグナルとして使います。
Ohlson Oスコア(デフォルト確率)
O = −1.32 − 0.407·log(TA) + 6.03·(TL/TA) − 1.43·(WC/TA) + 0.0757·(CL/CA) − 1.72·OENEG − 2.37·(NI/TA) − 1.83·(FFO/TL) + 0.285·INTWO − 0.521·CHIN単位: スコアOhlson (1980) の9変数ロジット・モデル。Oスコアはロジスティック変換して1年以内の信用不安確率として解釈します。レバレッジ(TL/TA)、流動性(WC/TA・CL/CA)、収益性(NI/TA)、連続赤字(INTWO)の寄与が大きい指標です。
Benford MAD(先頭桁分布検定)
MAD = (1/9) Σ|Observed_d − log10(1 + 1/d)|, d ∈ {1..9}単位: MAD先頭桁の観測分布がベンフォード分布からどれだけ乖離しているかを示す指標です。MAD が小さいほど適合度が高く、目安は <0.006 高適合、<0.012 許容、<0.015 境界、≥0.015 非適合。異常検知の一次スクリーニングであり、単独で不正を断定するものではありません。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Altman Z'-Score(倒産予測) | Z' = 0.717·X1 + 0.847·X2 + 3.107·X3 + 0.42·X4 + 0.998·X5 | スコア | 製造業向けの倒産予測スコア。判定:> 2.90 = 安全圏、1.23〜2.90 = グレーゾーン、< 1.23 = 倒産リスク。非製造業は X5 を除いた Z'' を使用します。 X1 = 運転資本 ÷ 総資産(短期流動性) X2 = 利益剰余金 ÷ 総資産(長期収益性) X3 = EBIT ÷ 総資産(資産収益力) X4 = 自己資本 ÷ 負債合計(財務安全性) X5 = 売上高 ÷ 総資産(資産回転率、製造業のみ) |
| Beneish M-Score(利益操作の検出) | M = −4.84 + 0.92·DSRI + 0.528·GMI + 0.404·AQI + 0.892·SGI + 0.115·DEPI − 0.172·SGAI + 4.679·TATA − 0.327·LVGI | スコア | M > −1.78 で「利益操作の可能性あり」と判定(Beneish 1999)。8 つのサブ指標は前期との比率で構成されます。 DSRI(売掛金回転)= 当期(売掛金/売上) ÷ 前期(売掛金/売上) GMI(粗利率劣化)= 前期粗利率 ÷ 当期粗利率 AQI(資産品質)= 無形・その他資産比率の前期比 SGI(売上成長)= 当期売上 ÷ 前期売上 DEPI(減価償却)= 前期償却率 ÷ 当期償却率 SGAI(販管費率)= 当期(販管費/売上) ÷ 前期(販管費/売上) LVGI(レバレッジ)= 当期負債比率 ÷ 前期負債比率 TATA(総アクルーアル)= 非現金運転資本変動 ÷ 総資産 |
| Dechow Fスコア(不正会計確率) | F = −7.893 + 0.79·RSST_ACC + 2.518·CH_REC + 1.191·CH_INV + 1.979·SOFT_ASSETS + 0.171·CH_CS − 0.932·CH_ROA + 1.029·ISSUE | スコア | Dechow et al. (2011) のロジット・モデルで、倒産ではなく重要な会計不正の発生確率を推定します。実務上の目安は F < 0.85 通常、0.85〜1.85 警戒、> 1.85 高リスク。発生主義利益の厚み、売掛金・在庫の伸び、ソフト資産比率、資金調達圧力が主な寄与要因です。 |
| Springate Sスコア(財務危機スクリーニング) | S = 1.03·(運転資本/総資産) + 3.07·(EBIT/総資産) + 0.66·(EBIT/流動負債) + 0.40·(売上/総資産) | スコア | Springate (1978) の4変数判別モデル。一般的な読み方は S ≥ 0.862 安全、0〜0.862 グレー、< 0 危険域です。係数は開発サンプル依存のため、単独判定ではなく業種比較と併用して早期警戒シグナルとして使います。 |
| Ohlson Oスコア(デフォルト確率) | O = −1.32 − 0.407·log(TA) + 6.03·(TL/TA) − 1.43·(WC/TA) + 0.0757·(CL/CA) − 1.72·OENEG − 2.37·(NI/TA) − 1.83·(FFO/TL) + 0.285·INTWO − 0.521·CHIN | スコア | Ohlson (1980) の9変数ロジット・モデル。Oスコアはロジスティック変換して1年以内の信用不安確率として解釈します。レバレッジ(TL/TA)、流動性(WC/TA・CL/CA)、収益性(NI/TA)、連続赤字(INTWO)の寄与が大きい指標です。 |
| Benford MAD(先頭桁分布検定) | MAD = (1/9) Σ|Observed_d − log10(1 + 1/d)|, d ∈ {1..9} | MAD | 先頭桁の観測分布がベンフォード分布からどれだけ乖離しているかを示す指標です。MAD が小さいほど適合度が高く、目安は <0.006 高適合、<0.012 許容、<0.015 境界、≥0.015 非適合。異常検知の一次スクリーニングであり、単独で不正を断定するものではありません。 |
バリュエーション (Valuation Models)
企業の理論株価や事業価値を算定するモデル。Explorer の DCF / 配当割引 / 残余利益パネルで使用される計算式を解説します。
バリュエーションは「将来予測」のモデル化です。インプット(成長率、割引率、永久成長率)の妥当性が結果を決定づけるため、感度分析(変数を振った値幅)を必ず併用します。
DCF(割引キャッシュフロー法)
EV = Σ FCFₜ ÷ (1+WACC)^t + 残存価値 ÷ (1+WACC)^N単位: 円(事業価値)将来 N 年分の FCF を WACC で現在価値に割り引き、それ以降は永久成長モデルで残存価値を算定。FCF = EBIT × (1 − 実効税率) + 減価償却 − Capex − ΔWC。残存価値が EV の 60〜80% を占めることが多く、永久成長率と WACC の前提に極めて敏感です。
配当割引モデル(ゴードン成長)
理論株価 = D₁ ÷ (k − g)単位: 円/株D₁ = 次期配当、k = 株主資本コスト、g = 永久配当成長率。配当が永久に一定率で成長することを前提とした評価モデルで、安定配当を続ける成熟企業に適します。k > g が成立しない場合は使えません。
残余利益モデル(RIM)
株主価値 = 期首簿価純資産 + Σ RIₜ ÷ (1+r)^t単位: 円(株主価値)RIₜ = 純利益 − (期首純資産 × 株主資本コスト)。資本コストを上回って稼いだ「超過利益」の現在価値を簿価に上乗せする評価法。書面上の数値を多く使うため DCF よりターミナル依存度が低く、会計利益が現金化していない企業では DCF と結果が乖離します。
| 指標名 | 計算式 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| DCF(割引キャッシュフロー法) | EV = Σ FCFₜ ÷ (1+WACC)^t + 残存価値 ÷ (1+WACC)^N | 円(事業価値) | 将来 N 年分の FCF を WACC で現在価値に割り引き、それ以降は永久成長モデルで残存価値を算定。FCF = EBIT × (1 − 実効税率) + 減価償却 − Capex − ΔWC。残存価値が EV の 60〜80% を占めることが多く、永久成長率と WACC の前提に極めて敏感です。 |
| 配当割引モデル(ゴードン成長) | 理論株価 = D₁ ÷ (k − g) | 円/株 | D₁ = 次期配当、k = 株主資本コスト、g = 永久配当成長率。配当が永久に一定率で成長することを前提とした評価モデルで、安定配当を続ける成熟企業に適します。k > g が成立しない場合は使えません。 |
| 残余利益モデル(RIM) | 株主価値 = 期首簿価純資産 + Σ RIₜ ÷ (1+r)^t | 円(株主価値) | RIₜ = 純利益 − (期首純資産 × 株主資本コスト)。資本コストを上回って稼いだ「超過利益」の現在価値を簿価に上乗せする評価法。書面上の数値を多く使うため DCF よりターミナル依存度が低く、会計利益が現金化していない企業では DCF と結果が乖離します。 |
概観分析のシグナル判定基準
概観分析パネルでは、企業の総資産規模に応じて判定基準を3段階(大企業・中堅・中小)に自動分類し、各指標に信号(良好 / 注意 / 警戒)を表示しています。下記のトグルで企業規模別の閾値を確認できます。
企業規模
売上総利益率
営業利益率
当期純利益率
ROE
ROA
EBITDA
自己資本比率
流動比率
負債資本倍率
運転資本
ネットデット
ネットデット/EBITDA
営業CF
投資CF
財務CF
FCF
EBITDAマージン
総資産回転率
手元流動性比率
負債比率
インタレスト・カバレッジ
販管費率
営業CFマージン
| 指標名 | 良好 | 注意 | 警戒 |
|---|---|---|---|
| 売上総利益率 | ≥ 30% | 15–30% | < 15% |
| 営業利益率 | ≥ 10% | 5–10% | < 5% |
| 当期純利益率 | ≥ 5% | 2–5% | < 2% |
| ROE | ≥ 10% | 5–10% | < 5% |
| ROA | ≥ 5% | 2–5% | < 2% |
| EBITDA | > 0 | = 0 | < 0 |
| 自己資本比率 | ≥ 40% | 20–40% | < 20% |
| 流動比率 | ≥ 200% | 100–200% | < 100% |
| 負債資本倍率 | < 1× | 1–2× | ≥ 2× |
| 運転資本 | > 0 | = 0 | < 0 |
| ネットデット | ≤ 0 | < ¥50B | ≥ ¥50B |
| ネットデット/EBITDA | < 2× | 2–4× | ≥ 4× |
| 営業CF | > 0 | = 0 | < 0 |
| 投資CF | < 0 | = 0 | > 0 |
| 財務CF | ≤ 0 | < ¥10B | ≥ ¥10B |
| FCF | > 0 | = 0 | < 0 |
| EBITDAマージン | ≥ 15% | 8–15% | < 8% |
| 総資産回転率 | ≥ 1× | 0.5–1× | < 0.5× |
| 手元流動性比率 | ≥ 40% | 20–40% | < 20% |
| 負債比率 | < 50% | 50–65% | ≥ 65% |
| インタレスト・カバレッジ | ≥ 6× | 3–6× | < 3× |
| 販管費率 | < 22% | 22–38% | ≥ 38% |
| 営業CFマージン | ≥ 13% | 6–13% | < 6% |
補足事項
指標は金融庁に提出された構造化財務報告書から自動抽出したデータに基づいて計算されます。
概念名(勘定科目)はパターンマッチングで識別しているため、一部の企業で特殊な科目名を使用している場合は値が取得できないことがあります。
ネットデットの計算では、有利子負債の概念が見つからない場合、短期借入金+長期借入金をフォールバックとして使用します。
EBITDAの減価償却費は、PLの減価償却費を優先し、取得できない場合はCF計算書の減価償却費を使用します。
概観分析のシグナル判定は企業の総資産規模(大企業≥1兆円 / 中堅≥1000億円 / 中小<1000億円)に応じて閾値が自動調整されます。大企業は安定性に厳しく、中小企業は収益力に高い基準を適用しています。
セル編集機能でデータを上書きした場合、依存するすべての指標が即座に再計算されます。