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IFRSとは?国際会計基準の基礎知識

International Financial Reporting Standards — 国際財務報告基準の全体像を理解する

約10分

中級
このページで学べること

IFRSの基本理念(原則主義・公正価値)を理解する

IFRSの主要な財務諸表体系を把握する

重要なIFRS基準(IFRS 15, 16, 9等)の概要を知る

IFRS採用企業の開示書類を読む際のポイントを身につける

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1. IFRSの概要

1. IFRSの概要

IFRS(International Financial Reporting Standards)は、IFRS財団の下部組織であるIASB(国際会計基準審議会)が策定する国際的な会計基準です。世界140カ国以上で採用されており、グローバルな財務報告の共通言語として機能しています。

  • IFRS財団(本部:ロンドン)が運営し、IASBが基準を策定
  • 2005年にEUが上場企業に適用を義務化し、世界的に普及
  • 日本では2010年より任意適用が開始され、現在約250社が適用中
  • 日本の上場企業は日本基準(J-GAAP)、IFRS、米国基準(US-GAAP)、修正国際基準(JMIS)から選択可能
  • 時価総額ベースでは日本市場の約50%がIFRS適用企業
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2. IFRSの基本原則

2. IFRSの基本原則

原則主義(Principles-based)

詳細なルールではなく、原則を示して企業の判断に委ねるアプローチ。日本基準やUS-GAAPの細則主義(Rules-based)と対照的です。

公正価値測定(Fair Value)

資産・負債を取得原価ではなく公正価値(市場価格等)で測定することを重視します。投資不動産や金融商品で特に影響が大きくなります。

包括利益(Comprehensive Income)

当期純利益に加え、その他の包括利益(OCI)を含めた包括利益を重要な業績指標として開示します。

実質優先(Substance over Form)

取引の法的形式よりも経済的実質を優先して会計処理を行います。リース会計(IFRS 16)がその典型例です。

IFRSは「原則主義」です。ルールの暗記より考え方の理解が大切です。
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3. IFRSの主要財務諸表

3. IFRSの主要財務諸表

IFRSでは財務諸表の名称が日本基準と異なります。以下は主要な財務諸表の対照表です。

連結財政状態計算書
日本基準での対応

連結貸借対照表(B/S

主な内容

資産・負債・資本の状態を報告

連結包括利益計算書
日本基準での対応

連結損益計算書(P/L)+ 包括利益計算書

主な内容

当期利益OCIを一体または分離で報告

連結キャッシュ・フロー計算書
日本基準での対応

連結キャッシュ・フロー計算書

主な内容

営業・投資・財務のCF(直接法・間接法)

連結持分変動計算書
日本基準での対応

連結株主資本等変動計算書

主な内容

株主資本・非支配持分の変動を報告

注記
日本基準での対応

注記表

主な内容

会計方針、見積り、リスク情報等の詳細開示

IFRS名称日本基準での対応主な内容
連結財政状態計算書連結貸借対照表(B/S資産・負債・資本の状態を報告
連結包括利益計算書連結損益計算書(P/L)+ 包括利益計算書当期利益OCIを一体または分離で報告
連結キャッシュ・フロー計算書連結キャッシュ・フロー計算書営業・投資・財務のCF(直接法・間接法)
連結持分変動計算書連結株主資本等変動計算書株主資本・非支配持分の変動を報告
注記注記表会計方針、見積り、リスク情報等の詳細開示
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4. IFRS特有の重要な基準

4. IFRS特有の重要な基準

5ステップモデル(契約識別→履行義務識別→取引価格決定→配分→収益認識)により収益を認識します。

ソフトウェア、建設、通信業界など複合的なサービス提供企業への影響が大きい基準です。

借手はほぼすべてのリースをオンバランス(資産・負債として計上)します。オペレーティング・リースとファイナンス・リースの区分は実質的に廃止されました。

小売業、航空業界など大量のリース契約を持つ企業の財務諸表が大きく変化します。

のれんは非償却とし、毎期減損テストを実施します。日本基準ではのれんは最長20年で償却します。

大型M&Aを行った企業では、のれんの減損リスクが重要な分析ポイントになります。

金融資産の分類を事業モデルとキャッシュフロー特性に基づいて行い、予想信用損失(ECL)モデルで減損を認識します。

銀行・保険業界で貸倒引当金の計上方法が大きく変わります。

IFRS 16(リース)は日本基準と最も違いが出やすい基準です。比較時に注意しましょう。
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5. IFRS適用日本企業の例

5. IFRS適用日本企業の例

日本では2010年にIFRSの任意適用が開始されて以来、大手企業を中心に適用が進んでいます。以下は代表的なIFRS適用企業です。

ソフトバンクグループ(9984)— 2014年適用、グローバル投資事業の透明性向上
日立製作所(6501)— 2014年適用、グループ全体の財務可視化
武田薬品工業(4502)— 2014年適用、海外M&A推進のため
ソニーグループ(6758)— 2021年にUS-GAAPからIFRSへ移行
トヨタ自動車(7203)— US-GAAP適用(IFRSは未採用だが比較対象として重要)
三菱商事(8058)— 2014年適用、商社初のIFRS採用
リクルートHD(6098)— 2018年適用、海外人材事業の統合
パナソニックHD(6752)— 2017年適用、事業ポートフォリオ改革
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6. 投資家としてIFRSを読むポイント

6. 投資家としてIFRSを読むポイント

  1. 営業利益の定義がIFRSでは標準化されていないため、各社の定義を確認する必要があります。「事業利益」「コア営業利益」など独自指標にも注意しましょう。
  2. のれんは非償却のため、見かけ上の利益が日本基準より大きくなりやすい反面、減損テストで一括損失が発生するリスクがあります。
  3. その他の包括利益(OCI)には為替換算差額やFVTOCI金融資産の変動が含まれ、将来のP/Lへの影響を示唆することがあります。
  4. リース負債のオンバランス化により、有利子負債が増加して見えるため、D/Eレシオの解釈に注意が必要です。
  5. セグメント情報はマネジメント・アプローチで開示されるため、経営者の視点での事業構造が把握しやすくなっています。