IFRSとは?国際会計基準の基礎知識
International Financial Reporting Standards — 国際財務報告基準の全体像を理解する
約10分
目次
1. IFRSの概要
IFRS(International Financial Reporting Standards)は、IFRS財団の下部組織であるIASB(国際会計基準審議会)が策定する国際的な会計基準です。世界140カ国以上で採用されており、グローバルな財務報告の共通言語として機能しています。
2. IFRSの基本原則
詳細なルールではなく、原則を示して企業の判断に委ねるアプローチ。日本基準やUS-GAAPの細則主義(Rules-based)と対照的です。
資産・負債を取得原価ではなく公正価値(市場価格等)で測定することを重視します。投資不動産や金融商品で特に影響が大きくなります。
取引の法的形式よりも経済的実質を優先して会計処理を行います。リース会計(IFRS 16)がその典型例です。
IFRSは「原則主義」です。ルールの暗記より考え方の理解が大切です。
4. IFRS特有の重要な基準
5ステップモデル(契約識別→履行義務識別→取引価格決定→配分→収益認識)により収益を認識します。
ソフトウェア、建設、通信業界など複合的なサービス提供企業への影響が大きい基準です。
借手はほぼすべてのリースをオンバランス(資産・負債として計上)します。オペレーティング・リースとファイナンス・リースの区分は実質的に廃止されました。
小売業、航空業界など大量のリース契約を持つ企業の財務諸表が大きく変化します。
金融資産の分類を事業モデルとキャッシュフロー特性に基づいて行い、予想信用損失(ECL)モデルで減損を認識します。
銀行・保険業界で貸倒引当金の計上方法が大きく変わります。
IFRS 16(リース)は日本基準と最も違いが出やすい基準です。比較時に注意しましょう。
5. IFRS適用日本企業の例
日本では2010年にIFRSの任意適用が開始されて以来、大手企業を中心に適用が進んでいます。以下は代表的なIFRS適用企業です。
6. 投資家としてIFRSを読むポイント
- 営業利益の定義がIFRSでは標準化されていないため、各社の定義を確認する必要があります。「事業利益」「コア営業利益」など独自指標にも注意しましょう。
- のれんは非償却のため、見かけ上の利益が日本基準より大きくなりやすい反面、減損テストで一括損失が発生するリスクがあります。
- その他の包括利益(OCI)には為替換算差額やFVTOCI金融資産の変動が含まれ、将来のP/Lへの影響を示唆することがあります。
- リース負債のオンバランス化により、有利子負債が増加して見えるため、D/Eレシオの解釈に注意が必要です。
- セグメント情報はマネジメント・アプローチで開示されるため、経営者の視点での事業構造が把握しやすくなっています。
IFRSの実例を見る
IFRS適用企業の財務諸表を開いて、日本基準との違いを実感しましょう。